人前で気持ちよ~く話すための、ちょっとしたコツをご紹介しているこのブログ。
アクセスしてくださる方の「キーワード」を見てみると・・、やはり「滑舌」という言葉がカギのようです。
滑舌トレーニング用の基本的な練習方法は、こちらのページでご紹介していますが、いつもこればかりだと飽きてしまうので、好きな小説を、俳優になりきって「朗読」する、という方法もオススメしています
【滑舌】と【表現力】、両方の練習ができるのが、芥川龍之介の「蜘蛛の糸」。
ある日の事でございます。
おしゃか様は極楽の蓮池(はすいけ)のふちを、
独りでぶらぶら御歩きになっていらっしゃいました。
池の中に咲いている蓮の花は、みんな玉のようにまっ白で、
そのまん中にある金色の蕊(ずい)からは、
何とも云えないよい匂いが、たえまなく、あたりへあふれて居ります。
極楽は、丁度朝なのでございましょう。
やがて、おしゃか様はその池のふちにおたたずみになって、
水の面(おもて)をおおっている蓮の葉の間から、
ふと下のようすを御覧になりました。
この極楽の蓮池の下は丁度地獄の底に当って居りますから、
水晶のような水を透き通して、三途の河や針の山の景色が、
丁度のぞき眼鏡を見るように、はっきりと見えるのでございます。
これは冒頭部分ですが、「ございます」「御歩きになっていらっしゃいました」「あふれております」などなど、滑舌の難しい言葉のオンパレード 一音一音丁寧に発音しなければ、言葉が流れてしまいますし、その上に情感をだっぷり出そうとしたら・・、ゆっくり丁寧に、気持ちを込めて読むしかありません。
実は私も、何年か前、読み聞かせのボランティアサークルで、子どもたちにこの小説を読んだことがあるのですが、難しくて難しくて かなり練習したことを覚えています。
もちろん、音読の練習というだけでなく、声に出すことで日本語の心地よい響きや言葉の美しさを改めて感じていただけるはず。ぜひお試しくださいまし