【おすすめ書籍】 ローマ皇帝ティベリウスの名言 (塩野七生著「ローマ人の物語」より)

このブログでは「話し方」に関する話題をずっとご紹介していますが、今回は、かなり話が飛びます! 今日たまたま読んでいた本の中にちょっと感動する名言があったので、ご紹介したいと思った次第。「なぜこれを・・?!」と思われるかもしれませんが、仕事の仕方にも通じるものがあるような気がするのです。

実は私、二十代の頃から趣味としてイタリア語を学んでおりまして・・・、ここ数年は「イタリア語でイタリア史を学ぶ」という授業を取っています。先史時代から始まって現代まで一通りの出来事をたどり、今はまた過去にさかのぼって、ローマ帝国の政治や文化を学習中。とはいえ、歴史は登場人物が多く背景も複雑で、イタリア語だけでは理解しづらい部分もあるため、『あんちょこ』代わりに、塩野七生さんの「ローマ人の物語」を並行して読んでおります。

この「ローマ人の物語」第17巻は、ちょっと偏屈(?)で生真面目で気難しい2代皇帝・ティベリウスの生涯を取り上げたもの。その最後に、ティベリウスの功績をたたえて彼にささげる神殿を建てたいという元老院の提案に対し、それを断った時の彼の言葉が紹介されています。

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「この私を後世は、どのように裁くであろうか。

わたしの成したことが、わが祖国の名に恥じなかったか、あなた方元老院議員の立場を守るのに役立ったか、帝国の平和の維持に貢献できたか、そして国益のためならば不評にさえも負けないで成したことも、評価してくれるであろうか。

もしも評価されるのならば、それこそがわたしにとっても神殿である。

それこそが、もっとも美しく永遠に人々の心に残る彫像である。

他のことは、それが大理石にほられたものであっても、もしも後世の人々の評価が悪ければ、墓所を建てるよりも意味のない記念物にすぎなくなる。

私の望みは、神々がこのわたしに生命のあるかぎり、精神の平静とともに、人間の法を理解する能力をあたえつづけてくれることのみである。」

名手、塩野七生さんによって、美しい日本語に変えられているとはいえ・・、この名言にはちょっと感動しませんか?

かのローマ帝国を率いた人物に自分をなぞらえるというのは非常に僭越ですが、自分を客観的に見つめ、プライドを失わず、淡々と、持てる力を精一杯尽くして、仕事に取り組む人間でいたい、と願っています。

あら、ちょっとまじめすぎたかも・・?!